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2009年7月13日

2009年7月13日 (月)

演劇作品の空気について

4日目終演、これで5ステージが終演しました。

5ステージ終えて改めて感じるのは、舞台作品は演出家・役者・スタッフだけで創るものではないんだ、ということ。

お客様含めて舞台作品は完成するんだということ。

これは「お客様あっての演劇ですから」的なきれいごとではなく、もっと現実的な、極めて技術的なことで。

  

舞台作品はパッケージング出来ない生もので、この時、この場所ででしか存在しない儚い存在で。

たとえ映像に残したとしても舞台の場合それは「記録」であり「記憶」そのものには程遠いものでしかない。

他のメディアでは「残る」ものが「残らない」のはどうしてかと言えばそれはやはり舞台作品は「その時、その場所で起きた空気そのもの」だからであり、量産したり、留めたりできるものではないから。

「空気」はデジタルが介入出来ない。

そして本番中、その「作品の身体」とも言える「作品の空気」を創るのは役者であり・照明であり・音響であり・スタッフであり、

何より空間のほとんどを占めるお客様なのだ。

と思う。と実際に感じる。

  

僕らの創っている作品の空間は舞台上だけと思われることが多いがそれは間違いで、客席も含めた、劇場空間全体が作品の身体となる。

よく演出で

「空気を変えろ」

というコトバをもらう。

つまり

「そのシーンの緊張感・空気感・人間の関係性を変えてその変化を表現しろ」

というイミだが、これは稽古中と本番中では意味合いは同じでも役者の作業としては異なる。

稽古中なら稽古場にいる演出家にそれが(空気が変わったと)伝わればいい。

だが本番中はその工程が増える。

正確に「空気を変える」という工程を追うと、

まず

①舞台上の役者(音響・照明効果含む)が緊張感・関係性を作り、それをそのシーンの役者全員が統一意識を持って共有する。

②舞台上の役者(音響・照明効果含む)が緊張感・関係性に変化を与え(空気を変え)、それをそのシーンの役者全員が統一意識を持って共有する。

③舞台上で起きた①②の工程をお客様が感じ、その空気感を舞台上の役者と共に共有する(または冷静に理解、認識し把握するとか)。

④ ③でお客様が感じ、共有した空気感の変化が客席の空気を変える。

⑤ ④で変わった客席の空気の変化を役者が感じて、変わった空気の変化にリアリティが生まれる。役者の芝居の没入度・集中度に影響を与える。

⑥ ⑤までの工程で作られた緊張感・関係性をそれをそのシーンの役者全員が統一意識を持って共有する(繰り返し)。

となると思う。

つまり本番中の作品の空気を変えているその半分はお客様なのだ。

半分というコトバを使ったが正確には舞台上と客席は影響し合っていて相乗効果で空気を変えているので50パーセントでは片付けられない力を持っている。

それほど舞台作品を創る上でお客様の存在は重要なのだ。

もう乱暴な言い方すればお客様が変われば違う作品にもなりえる、ということ。

  

幸い今回観にいらしてくれている山本裕典くんファンの女の子達(男の子もいるのかな?)は皆さんとても素直で行儀良く観劇してくれているおかげで舞台上はいい緊張感を保てているように思う。

素直で誠実な性格の山本くんのファンの方達だからマナーの心やモラルが高い方が多いのかな。

あと多感で感受性の高いお客様が多いように感じる。

だからか空間の空気がいつもの公演で感じる以上に複雑に動いているように感じる。

それを感じて柔軟に変化する役者を見て、それに新鮮に対応するのも役者の一つの楽しみです。

などと生意気なことを言ってみたり。

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