『アンダーカレント』
著者:豊田 徹也
読了。
本屋で気になってなんとなく買って、電車で移動中に読んでいたら一気に引き込まれていつの間にか目的の駅を通り過ぎていました。
降りて駅のベンチで一気に読了。
これは面白い!!
面白い!と思うと同時に絶望的な切なさや哀しさにも襲われる、読了後少しぼうっとしてしまうような、そんな作品でした。
会話の空気や感情の描写がちょっと舞台っぽいなぁ、と感じました(舞台上で行われたら印象的だろうなぁ・、と)。
銭湯で働く女、という設定がまず素敵です。
その周りを囲む人物や地味とも思えるその生活臭も含め。
非常にツライ境遇にありながらもそれを日常では表に出さない(出せない)というところがとてもリアルに感じます。
またそういった抑えられ、膨れ上がった何かの、その魅せかたが上手い。
登場人物(というか人間というもの)の2面性の描き方、現代性にも深く手が届いているように思え、著者のアンテナの鋭さに驚かされます。
人は人のことをどれだけ分かるものなのだろうか?
人は自分のことをどれだけ知っているのだろうか?
人を分かる、とは?
今、「当たり前のように他人のことが分からない」こういう時にこそ、この作品は貴重だと思います。
重いテーマも含んでいますが、それでいてユーモアの部分もあり、展開で魅せてもいきます。
行われていくその物語があくまで日常の延長でありながら劇的な印象を与える演出力、画力に日本の漫画、という文化の成熟度を感じたり・・。
こういう作品をいわゆる華のあるTV俳優にやられたりすると興醒めなので、どうかお願いします(神様)。
漫画だからいいんじゃないですか、漫画だから。
ちなみに・・。
〔undercurrent ~アンダーカレント~〕
①下層の水流、底流
②《表面の思想や感情と矛盾する》暗流
なるほどねぇ。
今日はゆっくり休日なのでたくさん更新してみました。
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コメント
なんかいいブログですね。
…と言われても困るでしょうが、なんとなくただひとことコメントしたくなってしまったので。
投稿: 通りすがりの者ですが | 2008年6月22日 (日) 23時57分
>通りすがりの者ですがさん
あ、ありがとうございます。
たいしたこと書けませんが、できるだけ更新したいと思っています。
投稿: しゅんぺい | 2008年6月24日 (火) 09時07分